人間の眼の玉は、よくカメラに例えられます。一番奥の「網膜」と呼ばれる「フィルム」にピントを合わせるための「レンズ」、これを「水晶体」といい、透明なタンパク質で出来ています。このレンズ自体が白く濁ってしまうのが『白内障』です。透明だったタンパク質が年齢とともに変性し、白く・黄色く濁っていくわけです。そうすると濁ったレンズを通した光がフィルムに届くため、スリガラス越しに向こう側を覗くような状態となります。濁り方によって、見えにくさの症状もそれぞれで、色んな訴えがあります。
1. 全体が霞んで見えにくい
2. 物が二重にも三重にもみえる
3. 近眼が進行した(手元が見えやすくなった)
4. 光がまぶしく感じる
★いずれも白内障で起こる症状です。
(他の病気でも起こる症状ですので、自己判断せず、まずはご相談ください。
大きく二つ、「目薬」と「手術」です。
1.目薬
残念ながら、目薬には白内障を治す力はありません。白内障の進行を緩やかにするのが、目薬の役割になります。逆に言うと、頑張って目薬をさしていても、年齢とともに徐々に進行していきます。そこで見えにくさを強く感じるようになると手術が必要になります。
2.手術
ゆで卵の白身を、元通りの透明な状態に戻すことが出来ないのと同じように、白内障がすすんで濁ってしまったレンズを元通りに戻すことは出来ません。乱暴な話ですが、白内障の手術というのは、「濁ったレンズを取り除き」そして「新しい透明なレンズを入れる」というレンズの入れ替えをするわけです。
では、白内障になれば全員に手術が必要なのでしょうか?
この病気は老化現象の一つですので、ほぼ全員が白内障になります。ただ、白内障の出る時期には個人差がありますし、レンズのどの部分が濁るかによっても見え方が変わります。また同じような濁り方でも「見えにくい」と感じる人もいれば気にならない人もいます。大事なのはご本人の『自覚症状・見えにくさ』なのです。基本的に手術の時期は、本人が「見えにくい」と感じた時です。日々診察を行っていると、水晶体の濁りも強く「見えにくそうだなぁ〜」と思いながら白内障手術を勧めることがあります。ただ、ご自身で特に見え方に問題がなければ慌てる必要はありません。逆にそれ程白内障が進んでいない人でも「見えにくい」と感じているのであれば、もっと見えにくくなるまで我慢する必要もありません。気軽にご相談ください。
1. 洗眼・消毒
消毒液で白目の部分の常在菌を洗い流し、瞼の部分もしっかりと消毒します。
2. 点眼麻酔
局所麻酔で行う手術です。目薬での麻酔ですので、麻酔自体も痛くありません。手術中は触れる感じ、水がかかる感じは残りますが痛みはないのでご安心ください。手術中は器械で瞼を固定します。
3. 前嚢切開
耳側の角膜(黒目の透明部分)に約3oの切開を行い、水晶体を包む袋の前面を丸く切り取ります。その後、水流の力で袋と水晶体を分離します。
4. 水晶体乳化吸引
超音波を発振する手術器械で、白内障となり濁った水晶体を細かく砕きながら吸い取ります。その時、元々水晶体が入っていた薄い袋は残し、中身だけきれいに吸い取ります。
5. 眼内レンズ挿入
残した薄い袋の中に、人工のレンズを挿入します。当院ではインジェクターという物を使用し、大切な眼内レンズが睫毛等に当たり細菌で汚染されないようにしております。
手術の傷口は、縫合しなくても閉鎖する切開方法で行います。白内障のかなり進んだ人では、縫合する場合がありますが基本的には無縫合ですので、後日の抜糸も必要ありません。手術は短時間で終わりますが、手術中に気分が悪くなったり尿意を感じたりした場合は我慢せずに声をかけてください。
●  白内障日帰り手術が不安な方へ  ●

白内障の手術技術・器具が発達して、手術自体は非常に安全に行えるようになっております。他の体の病気や目の病気がある人は入院が必要と思われますが、ほんの一部の話です。では、大きな病院の白内障手術で入院している人たちは、入院中何をしているのでしょうか?何か特殊な検査をしているのでしょうか?安静にして、朝の診察を受けているだけです。元気な方からは「暇だ」というご意見をよく頂いてました。逆にいえば、術後の診察さえきっちり通えるのであれば、日帰りで十二分に安全な白内障手術を受けていただくことができるのです。日帰り手術であれば、住み慣れた自宅でゆっくり休んでいただけますし、入院費がかからないため経済的負担も少なくてすみます。 ただ、クリニックから遠く受診が難しい人、体の病気等で入院手術が望ましい人は、東大阪市立総合病院で入院していただきます。その場合も、私が出向いて手術を執刀いたしますのでご安心ください。